研究概要 |
(1)2,6-Bis{(2-dimethylaminoethyl)ominomethyl-4-methylphenol(HL)の酢酸橋架け二核コバルト(II)、ニッケル(II)および亜鉛(II)錯体([M_2(L)(AcO)_2]BPh_4)によるTris(p-nitrophenyl)phosphate(TNP)およびBis(p-nitrophenyl)phosphate(BNP)の加水分解反応を分光法およびESI質量分析法で調べた,その結果、[M_2(L)(AcO)_2]BPh_4(M=Co,Ni,Zn)はいずれもTNP→DNPを促進することが示された。その活性はM=Zn>Co>Niの順に減少した.つぎにDNP→MNP(MNP=mono(p-nitrophenyl)phosphate ion)を調べた結果、基質添加直後に[M_2(L)(DNP)_2]^+を生成して、そのESI-シグナルの経時変化から活性の順序はM=Co>>Ni>Znとなり、Zn錯体はほとんど活性を示さなかった。この結果はリン酸ジエステラーゼの機能を洞察するうえで重要な知見を与えるものである。 (2)ウレアーゼの機能発現を研究する目的で、'エンドオフ'タイプの二核化コンパートメント配位子を用いてμ-ヒドロキソ架橋二核ニッケル(II)錯体を合成し、尿素との反応で二つの尿素付加錯体を単離してその構造を決定した。二核ニッケル(II)錯体の尿素付加物としては三例目である.この場合には隣接ニッケルは平面構造で尿素の橋架けに与れないために、尿素→NCO^-の化学変換が進行しないことが示された。 (3)非対称型二核化配位子を用いてM(II)Co(II)(Sc_O=1/2)(M=Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn)ヘテロ二核錯体を合成して、構造、電子構造および性質を研究した.
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