研究概要 |
平成15年度には、前年度の研究成果に基づいて、以下の研究を行った。まず有機基成分を(-CH2-)n(n=2,3)及びフェニレン基に持つ有機・無機ハイブリッドメソ多孔質材の合成を行い、ハイブリッドメソ空間での金属及び合金のネックレス型ナノ細線や一次元ナノ粒子などのナノ構造体の鋳型合成法を展開した。水蒸気雰囲気下での水素還元により数mμ長の白金ナノ細線の大量合成法を確立した。メソ細孔に導入したH_2PtCl_6やRhCl_3,H_2PdCl_4の還元反応を飽和水蒸気下での水素還元で行うことにより、無機メソ細孔内に白金及びPtRh, PtPdなどの合金のナノ細線を有機・無機ハイブリッドメソ細孔内にネックレスナノ合金細線を作成できた。鋳型合成されたネックレスナノ細線をHF試剤を用いて66%収率で抽出・単離に成功した。(1)抽出・単離された一次元Pt, Rh及びPdとの合金のナノ細線の構造特性について、in-situ EXAFS(X線吸収微細構造)法(高エネルギー加速器研究機構放射光実験施設利用)、高分解電子顕微鏡(北海道大学工学部共同利用)を用いて明らかにした。(2)ナノ局所操作AFM/STM解析装置を用いて、メソ細孔から抽出単離されたPt及びPtPd, PtRhからなるネックレス型ナノ合金細線のミクロ形態を調べたところ鋳型であるハイブリッドメソ多孔質の有機基成分の分子長に応じてネックレス構造のピッチ長との間に相関性をみいだした。(3)単離されたPt及び合金ナノ細線とナノ白金粒子についてノンコンタクトI-V電気特性を測定した。単電子伝導性に関するCoulomb-blockage特性とナノ白金細線サイズの間に一定の相関性を見出した。(4)大過剰H_2ガス中の一酸化炭素(0.1〜1%体積比)の選択酸化率が90%以上になることが判った。燃料電池用水素のCO除去に対して高活性で高選択率の触媒特性を発見した。
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