研究概要 |
1.汎用型共振ずり応力ナノ測定装置の開発 表面間の距離のモニターを反射型の干渉法(ツインパス干渉型測距システム)で行うことにより不透明な基板など表面の種類を選ばない測定を可能にする装置を試作する予定である。本年度は共振ずり応力ナノ測定装置へのツインパス干渉型測距システムとFECO(等色次干渉縞)法の組み込みのための装置のデザインと試作を行った。これによりツインパス測距システムによる距離測定の精度、安定性を評価可能となった。 2.微細空間中の液晶の配向構造化の研究:温度依存性 これまで、液晶4-シアノ4'-ヘキシルビフェニル(6CB)の雲母表面間(ホモジニアス配向,6CBの分子軸は表面に平行)および疎水修飾表面間(ホメオトロピック配向,6CBの分子軸は表面に垂直)に挟まれた構造化挙動を共振ずり応力ナノ測定装置を用いて調べ、前者では6CBは表面間距離5〜6nm(約12分子層)で固体状態となり、後者では固体化しない等の知見を得ている。さらに温度制御機構を組み込み、等方相における測定を行い、ホモジニアス配向の場合に液晶状態と同様に5nmで固体状態となることが分かった。また位相を解析することにより、ホモジニアス配向した厚さ4nmの6CBの摩擦係数0.02が得られた。また摩擦係数や粘度の配向とせん断速度依存性の評価を行い初期的結果を得た。 3.微細空間中の閉じ込め効果の研究:溶媒ならびに色素溶液 FECO分光法により液晶(6CB)-色素(Sudan Black)2成分の液体ナノ薄膜の吸光度測定を行い、表面間距離10nm以下で色素が表面間に濃縮することが分かった。さらにこの濃縮と摩擦挙動の相関について調べた。
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