微小形状の金属への光照射により自由電子の集団振動(プラズモン)が励起され、金属と周りを取り巻く媒体との界面に局所的な電場が生ずることが知られている。この局所電場励起と金属内電子の電気化学ポテンシャル制御を組み合わせて局所的な金属の溶解・析出反応性を制御して金属ナノ構造構築に成功した。溶液内で電気化学電位の制御された金属探針を電極表面に近接させて光照射を行うことにより、位置選択的に金属ナノドット構造が形成されることを示した。この手法は、ドットの高さなどの三次元構造制御が電位と光強度などによって自在に制御可能であることが特徴であることが特徴である。この他、絶縁基板表面上の金属ナノドットについても光照射と外部からの電場印加によって局所的な溶解・再析出反応を制御することに成功し、隣接する金属ナノドットの距離を外部からの摂動制御によりナノメートルのオーダーで自在に制御することに成功した。その結果、光照射下でのドット間隙での局所電場強度制御が可能となり、一般的には制御が困難な表面増強ラマン散乱強度を制御することが可能となり、単分子検出レベルの信号を自在に発現させることに成功した。また、金属ナノ構造制御により、電子伝達単位としての機能の制御、ならびにその金属構造近傍の媒体の場を変調することにより分子やイオン移動を制御することを試みた電解質溶液内の金属のナノ接合形成に種々の金属を用いた単原子レベルの接合を形成することに成功した。その結果、種々の金属の電子的・機械的な特性を利用した電子のエネルギー・スピンの選択透過能を有するナノ接合形成が可能となった。また微小伝導体である単層カーボンナノチューブについて、その直径とカイラリティに依存した電子準位の絶対電位を世界で初めて明確にした。
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