研究課題/領域番号 |
14340228
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
武田 猛 東京農工大学, 工学部, 教授 (40111455)
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研究分担者 |
坪内 彰 東京農工大学, 工学部, 助手 (40272637)
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キーワード | 二価チタノセン / アルキルチタン / チタン-カルベン錯体 / エノールエーテル / アルキニルシクロプロ / ポリアセチレン / 末端オレフィン / β-置換スチレン |
研究概要 |
本年度はチオアセタールや有機ハロゲン化物と二価チタノセン錯体の反応により生成する有機チタノセン錯体の反応性の解明とその有機合成への応用について研究した。はじめにα-ハロエーテルと二価チタノセンの反応により生成する有機チタン錯体の反応性について検討し、カルボン酸誘導体を含む広範囲のカルボニル化合物を作用させると、エノールエーテルが収率良く得られることを見出した。この結果は中間にアルコキシ基が置換したチタン-カルベン錯体が生成することを示している。 一方カルベン錯体の反応性に関する研究では、新規な反応の開発、またその配位子が反応性に及ぼす影響について検討した。アルキニル基が置換したチオアセタールに二価チタノセンを作用させると、新規カルベン錯体であるチタン-アルキニルカルベン錯体が生成し、オレフィンとの反応によりアルキニルシクロプロパンを与えた。またアルキリデン錯体とアセチレンの反応ではメタセシス型の重合が進行し、導電性を示すトランス-ポリアセチレンからなるフィルムが得られた。チタンカルベン錯体とエチレンから生成するチタナシクロブタンの反応性は、チオアセタールの脱硫還元に使用する二価チタノセンの配位子に依存し、亜リン酸トリエチル錯体ではチタナサィクルからメタセシス型の、またイソブテン錯体ではβ-ヒドリド脱離型の反応が進行することを見出した。イソブテン錯体を用いるオレフィンとのβ-ヒドリド脱離を経由する反応はエチレンばかりでなくスチレン誘導体の場合にも進行し、β-置換スチレンをE選択的に与えた。イソブテン錯体の反応性は高く、不飽和結合を持つチオアセタールから誘導されるチタンーカルベン錯体の閉環メタセシス反応では、嵩高い置換基を持つ場合にも環状多置換オレフィンが収率良く得られた。
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