研究課題/領域番号 |
14340236
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山本 博章 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (40174809)
|
研究分担者 |
山本 和生 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (20093536)
池尾 一穂 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJ研究センター, 助手 (20249949)
五條掘 孝 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJ研究センター, 教授 (50162136)
|
キーワード | マウス / 毛色変異体 / 内耳色素細胞 / 聴覚 / 蝸牛 / 血管条 / サブトラクション / in situハイブリダイゼイション |
研究概要 |
哺乳動物では内耳蝸牛の色素細胞が欠損すると聴覚も無くなってしまう。本研究の目的は、「解明の進んでいない内耳色素細胞の発生機構と新しい機能の発現機構を遺伝学的に解明し、それがどのようにして進化してきたかを推察するための端緒とする」ことである。 今年度は内耳色素細胞の特徴を明らかにすることを第一義的な目的として、まず内耳色素細胞の色は皮膚や毛色の色と同じか否かを、毛色変異体マウスを用いて調べた。その結果、これらには明らかな相関関係はなく、色素を産生できるマウスにおいては、内耳の色素細胞は総じて黒く見えた。 次に、内耳色素細胞の存否が、内耳の遺伝子発現に及ぼす影響を明らかにするために、次のいくつかの手法を用いて解析を進めた。まず、血管条と呼ばれる内耳色素細胞を含む蝸牛の一部分を取り出し、cDNAライブラリーを作製した。さらに、この色素細胞を分化できない変異体マウスの同様の部位に由来するcDNAライブラリーを調製し、両者の間でサブトラクションを行った。得られたライブラリーから1千個のクローンの塩基配列を決定した。 さらに上記のライブラリーをもとに、野生型と変異体のマウスの間で、ディファレンシャルスクリーニングを行った。その結果、両者の間で1つの遺伝子の発現が大きく異なっていることを検出した。現在、より定量的にこの差を明らかにすべく解析を続けている。 一方、野生型と上記変異体の蝸牛由来mRNAを用いて、マイクロアレイによる発現解析を行った。その結果、両者の間で発現量の差が2倍以上異なるクローンとして、合計12のクローンが得られた。現在これらクローンについてもin situハイブリダイゼイション法を用いて発現解析を続けている。 これまでに得られたクローンは、内耳蝸牛において、色素細胞の存否に大きくその発現を依存している可能性があるので、まずこれらの遺伝子の構造と機能の解析を進めることを次の展望としたい。
|