昨年度までの研究により、日本産野生マウス由来のMSM系統のX染色体をC57BL/6J系統に導入したコンソミック系統雄に生殖能力の低下がみられたことから、MSM-C57BL/6J系統間に見られるHybrid Breakdownには、X染色体が関わることが示された。さらに、少なくとも3つの遺伝子座がHybrid Breakdownに関与することが明らかとなっている。今年度は、これらのX連鎖遺伝子群と相互作用する常染色体のマッピングを行った。少数の個体を用いて行ったゲノムワイドなジェノタイピングの結果、1番、7番、11番染色体に、精子形態が正常な個体で有意な偏りが認められた。このため、これらの染色体について、個体数を増やして、QTL解析を行った。その結果、1番染色体の1箇所と11番染色体の2箇所に、関連遺伝子の存在領域が示された。7番染色体については、関連遺伝子の存在は示されなかった。今後は、1番染色体ど11番染色体のコシソミック系統とX染色体コンソミック系統を交配し、1番、11番、X染色体が同時にMSM系統由来になった場合に、精子形態が正常になることを確認する予定である。それぞれの染色体についてコンジェニック系統を作製して詳細な連鎖解析を行うことで遺伝子同定が可能である。
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