研究概要 |
1.体サイズ-密度関係の解析に関する一連のデータ処理を進めることに、初年度の力点を置いた。 2.河川ベントス群集データの解析を進め、特に種アバンダンスパターンについての新知見を得た。これは、複雑性を異にするハビタットを移用する群集間での比較に焦点をあて、シミュレーションモデルとの比較検討をおこなったものである。その結果、ハビタットの構造性の違い、およびそれに伴う動物群集のrichnessおよびアバンダンスの違いにかかわらず、ランダム分割モデルの近似性が高いことが証明された。この研究成果は、海外における生態学の主要な教科書である"Ecology : Individuals, Population and Communities"(Begon, Harper & Townsend, Blackwell Science)の新版に取り上げられることになった。 3.ヨーロッパの河川動物群集データについて、体サイズ-密度関係の季節的なパターンの解析を部分的におこない、英国王立協会の学術誌に掲載されることになった。 4.種アバンダンスパターンの進化的側面に関する理論考察とレビューをおこなった。特に、ニッチ分割の起こる状況についての検討と、種アバンダンスパターンモデルの前提条件との関連について考察し、さらに、体サイズ-密度関係と種アバンダンスパターンとの繋がりを検討した。その成果は日本個体群生態学会の学術誌に掲載された。 5.種アバンダンスパターンと体サイズ-密度関係の解析のための新しいプログラミング、およ潮間帯ベントスデータ、化石浅海ベントス群集データなどの整理および解析が進行中である。
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