研究課題
基盤研究(B)
本研究は、先に申請者らがメダカの性決定遺伝子の有力な候補として単離した遺伝子PG17の機能を明らかにすることを主な目的として計画された。PG17が性決定遺伝子であることの決定的証拠を示すために、遺伝的雌(XX)メダカの受精卵にPG17を含むDNA断片を微小注射により遺伝子導入し、これらのトランスジェニック個体における性、及び生殖腺でのPG17遺伝子の発現を解析した。その結果、PG17トランスジェニック個体ではXXであるにもかかわらず表現型は雄となった。また、生殖腺は精巣となり、精子形成は正常に進行し、受精能を備えた成熟精子がつくられた。これらの結果より、PG17はメダカの性決定遺伝子として決定され、DMYと命名された。次いで、DMYのペプチド抗体を作成し、メダカ正常発生時における生殖腺でのDMYの発現を免疫細胞化学的により解析した。DMY蛋白質は、生殖腺に明確な性分化が起こる直前のXY生殖腺中の生殖細胞を取り囲む体細胞(セルトリ細胞)で最初に発現し、その後も同体細胞に特異的に発現を示した。DMYの下流に働く遺伝子の有力候補としてDMRT1遺伝子を同定した。DMRT1遺伝子はDMYと同様にDMドメインを有し、精巣のセルトリ細胞に特異的に発現する。しかし、発現パターンは両者の間で大きく異なり、DMYが精巣分化に先立って発現がみられるのに対し、DMRT1は孵化後20日を経過した精子形成開始直前の精巣ではじめて発現することがわかった。また、DMYはY染色体に局在するが、DMRT1は常染色体(LG9)に存在する。本研究で、DMYはメダカの性決定遺伝子であり、SRY/Sryに次いで脊椎動物で二番目の性決定遺伝子として同定された。さらに、DMYの下流に作動する重要な遺伝子の一つとしてDMRT1遺伝子が同定された。今後、DMYとDMRT1の遺伝子発現機構と機能を詳しく解析する必要がある。
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