研究課題
Growth-blocking peptide(GBP)は、多機能性をもつ昆虫サイトカインである。本研究では、まず、昆虫血球細胞や昆虫培養細胞(Sf9, High Five)を用いてラジオレセプターアッセイを行い、GBPレセプターの多様性を生化学的に証明することを試みた。その結果、培養細胞では解離定数(K_d)が0.25-0.27nMの高親和性レセプターと13-14nMの低親和性レセプターの2種類が存在するのに対して、血球細胞ではK_d値が2-4nMといった中親和性レセプターが1種類存在することが明らかになった。各細胞当たりのレセプター密度は後者(血球細胞)が4x10^4と前者(培養細胞)の約10倍量存在することが確認できたので、血球細胞からのGBPレセプターの単離を試みた。種々の方法を試みた結果、最終的に分子量77Kdaのレセプター候補細胞膜タンパク質(P77)の同定と単離に成功した。P77は、血球細胞をGBPで刺激すると数分以内にチロシンリン酸化される細胞膜一回貫通型膜タンパク質である。P77cDNA(ORF:1,680bp)のクローニングの過程で、分子内に一部のDNA鎖欠失が観察される2種の相同遺伝子(ORFがそれぞれ1,368bpと957bp)が同定できた。この3種の遺伝子とも転写レベルでは血球細胞で発現していることを確認し、特に、P77mRNAは血球細胞のうち免疫活性が最も高いプラズマ細胞でのみ発現していることを証明した。P77遺伝子の膜外領域にはIgG様モチーフが存在し、また、細胞内領域にはITAM(immunoreceptor tyrosine-based activation motif)の存在が明らかになった。したがって、P77自体がGBPレセプターである可能性は十分あり得るため、現在、Cos7細胞やSL2細胞で発現し^<125>I-GBPとの直接結合性を証明すべく実験を続けており、まもなく結論付けられる。
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