研究課題
基盤研究(B)
本研究は、モウセンゴケ、コモウセンゴケを両親種とする交雑起源種であるトウカイコモウセンゴケが種として固定する際に、どのような遺伝子発現の再編成が起ったかを明らかにすることを目的として行われた。トウカイニモウセンゴケは、近畿、東海、および北陸に分布している。本研究では、分布の北限から南限までを網羅するように、富山、石川、滋賀、愛知の各集団および、採集後温室・人工気象室で同一環境下で栽培した個体を用いて研究を行った。その結果、以下のことが明らかになった。1.トウカイコモウセンゴケの生活史特性 トウカイコモウセンゴケは、開花時期に関しては全ての集団でほぼ一致して両親種の中間を示したが、開花時の葉の枚数は両親種に比べて同一地域の個体間での幅が大きかった。開花時の葉の枚数はコモウセンゴケ>トウカイコモウセンゴケ>モウセンゴケと開花が早いものほど多く、花期遺伝子の一つであるLFYによる一般的な表現型とは逆の結果が得られた。一方産生する種子の性質に関しては、愛知の集団以外は集団ごとに同じであったが、集団間では異なっていた。2.遺伝的解析 葉緑体DNAの解析から、いずれの集団のトウカイコモウセンゴケも、モウセンゴケを父親、コモウセンゴケを母親として比較的最近生じたこと、また核DNA上のITS1-5.8S rDNA-ITS2領域、シングルコピー遺伝子として知られるatpG遺伝子の解析から、モウセンゴケには1種類、コモウセンゴケには2種類、トウカイコモウセンゴケにはモウセンゴケ各々と全く同じ3種類の配列が存在していることがわかった。また、RT-PCR法による発現解析から、トウカイコモウセンゴケでは両親種由来の3種類の遺伝子のうちのどの遺伝子が発現しているかが異なっている可能性が示唆された。今後、表現型の違いに直接関与する遺伝子を探索し発現を解析することにより、上記の可能性を検証する。
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