研究課題/領域番号 |
14340269
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
加藤 英寿 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (50305413)
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研究分担者 |
藤井 紀行 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (40305412)
若林 三千男 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (50087152)
菅原 敬 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (10226425)
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キーワード | 小笠原諸島 / 種分化 / 外来種 / 北硫黄島 / AFLP / 遺伝的構造 / 2型異花柱性 / 雄性雌雄両全異種 |
研究概要 |
大小20あまりの島々からなる小笠原諸島では、これまで様々な視点から生物進化の研究が進められてきたが、その多くはアプローチが容易な父島・母島で行われたものであり、数々の無人島では十分な研究が行われていない。またこれらの地域では様々な外来生物が在来生物種に深刻な影響を及ぼしているため、早急な現状調査が必要とされている。以上の背景から、本研究ではこれらの無人島域を重点的に、小笠原諸島全域における植物多様性の現状を明らかにすることを目的としている。 今年度は訪れることが最も困難と言われている北硫黄島において、調査およびサンプリングを行った。現地調査は付近の気象条件が最も安定する6月に行い、海岸部から山頂部までを3日間かけて踏査した。今回の調査で明らかになったことの一つとして、北硫黄島においても外来種問題が深刻化しつつあるということがあげられる。特に、ガジュマルが各所で蔓延しつつあり、しかもかつては存在しなかったガジュマルコバチの生息が確認されたことで、今後の拡大が心配される。他にもトクサバモクマオウなどの新たな外来種が確認され、クマネズミによる植物の食害も深刻な状態であった。 DNAサンプルは、これまでに収集されたサンプルと併せて、主にAFLP法を用いて解析を進めている。特にフトモモ属及びシロテツ属集団のAFLPデータを元にassignment testを行ったところ、種内の遺伝的構造が明らかとなり、各個体をさらに遺伝的組成に基づく亜集団に割り当てることができた。これより各個体の移住の経路が明らかとなり、集団の形成過程を知る手がかりが得られた。 併せて、植物の花形態と繁殖様式に関する調査も進めている。今年度の調査で、オガサワラボチョウジ(アカネ科)は、形態的・機能的に2型異花柱性distylyであることが明らかとなった。また、ムニンハナガサノキ(アカネ科)は、高等植物には非常に珍しい雄性雌雄両全異種androdioecyであることが確認された。
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