研究課題/領域番号 |
14340269
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
加藤 英寿 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (50305413)
|
研究分担者 |
菅原 敬 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (10226425)
若林 三千男 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (50087152)
藤井 紀行 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (40305412)
|
キーワード | 小笠原諸島 / 大洋島 / 種分化 / 外来種 / リスク評価 / 遺伝的構造 / 遺伝的分化 / 性表現 |
研究概要 |
大小20あまりの島々からなる小笠原諸島では、これまで様々な視点から生物進化の研究が進められてきたが、その多くはアプローチが容易な父島・母島で行われたものであり、数々の無人島では十分な研究が行われていない。また小笠原では様々な外来種が在来生物種に深刻な被害を与えているため、早急な現状調査が必要とされている。以上の背景から、本研究では無人島域を重点的に、小笠原諸島全域における植物多様性の現状を把握することを目的とした。 平成14年度は聟島列島、平成15年度は北硫黄島、平成16年度は父島・母島列島の属島を主に調査を行い、硫黄島など一部の島を除く小笠原諸島全域にわたって植物相の現状を把握することができた。過去の植物相調査報告と比較したところ、いずれの島においても、在来維管束植物種が減少し、代わって新たな外来植物種の侵入やトクサバモクマオウなどの侵略的外来種の拡大が確認された。小笠原の外来種問題の具体的対策として、ハワイで用いられている外来植物リスク評価システムについて検討し、このシステムが小笠原への新たな侵略的外来植物の導入を防ぐことに有効であることを検証した。 本研究において収集された在来植物種(フトモモ属、シロテツ属、フヨウ属)のDNAサンプルを用いて、AFLP分析などの集団遺伝学的解析を行った。その結果、フトモモ属では生育環境(特に水分・光条件)と関連して集団の遺伝的分化が進行していること、シロテツ属では生育環境の違いや開花期のずれが集団の遺伝的分化と関連していること、フヨウ属では種子の散布能力の違いが集団の遺伝的分化を引き起こしている可能性が示唆された。 また、固有植物種の性表現の多様性にも着目し、ムニンアオガンピが小笠原において雌雄異株に分化した可能性が高いことや、ムニンハナガサノキが植物の性表現の中では非常に少ない雄性雌雄両全異株であること、そしてオガサワラボチョウジが異型花柱性であることなどが明らかとなった。
|