2002 年度実績報告書

高解像度衛生データを用いた土地利用分析の人類学への応用

研究課題

研究課題/領域番号	14340272
研究種目	基盤研究(B)
研究機関	東京大学
研究代表者	大塚柳太郎東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60010071)
研究分担者	口蔵幸雄岐阜大学, 地域科学部, 教授 (10153298) 梅崎昌裕東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (30292725) 夏原和美東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00345050)
キーワード	リモートセンシング / イコノス / 土地利用 / 環境保全 / 人類学 / 人間-環境系 / 地理情報システム / アジア地域
研究概要	中国海南島の山間部を対象に、ランドサットMSS(1980年)、ランドサットTM(1999年)、イコノス(2001年)の衛星データを用いて、土地利用・土地被覆の分析を試みた。ランドサットMSSとランドサットTMの分析結果を比較することで、この20年間、全体として草原が減少し森林が増加したことが示された。これは、1980年代にはじまった中国政府による焼畑の禁止と森林保護政策が実効性を持っていたことを示唆するものである。さらに、地形図より生成したDEM(デジタルエレベーションモデル)をもちいたGIS(地理情報システム)分析は、土地利用の変化に政策の違いに対応した地域差がみられること、標高・河川からの距離・斜度などの地理的条件と土地利用変化の傾向に関連性があることを明らかにした。一方、超高解像度衛星であるイコノスの分析は、地域の水田、家屋、道路、河川、換金作物畑、二次林、極相林の正確な分類を可能とした。しかしながら、いくつかの指標植物を用いることにより二次林を(1)かつて焼畑として使われていた部分、(2)かつて水牛の餌場として使われた部分、(3)それ以外に分類する試みは、(2)の部分を抽出することには成功したものの、(1)の分を分類するには至らなかった。この点に関しては、ファジー分析、テクスチャー分析などのより高度な分析手法によって解決できる可能性があると考えられる。本研究では、海南島に加えてソロモン諸島においても同様の手法による「リモートセンシングの人類学への応用可能性」を検討する研究を実施し、例えば、イコノス衛星データを分析することにより森林伐採の主体の違いによる環境負荷の違いを定量的に評価できる可能性などが示唆されている。今年度の分析結果により、イコノスなどの超高解像度衛星の能力の高さが示され、人類学研究における応用の可能性が明らかになった一方で、空間情報科学における分析技術の不十分さも明らかになり、人類学への応用を意識した分析技術開発が来年度以降の主たる研究テーマとして残されている。

研究成果
(7件)

すべてその他

すべて文献書誌 (7件)

[文献書誌] Umezaki M, Pahari K, Jiang H: "LAND USE OF THE LI-SPEAKING PEOPLE IN A MOUNTAINOUS AREA OF HAINAN ISLAND, CHINA : IMPACT OF NATIONAL NATURE RESERVE ESTABLISHED IN 1986"Proceeding of 23rd Asian Conference of Remote Sensing. 23(CD-ROM). 6 (2003)
[文献書誌] Pahari K, Umezaki M, Jiang H: "A STUDY ON LAND USE AND ENVIRONMENT IN TONZA CITY AREA IN HAINAN PROVINCE, CHINA : TWENTY YEARS OF CHANGE"Proceeding of 23rd Asian Conference of Remote Sensing. 23(CD-ROM). 7 (2003)
[文献書誌] Furusawa T, Pahari K, Ohtsuka R, Umezaki M: "STUDY ON THE CHANGING CHARACTERISTICS OF LAND USE AS COMMONS N ROVIANA, WESTERN PROVINCE, SOLOMON ISLANDS USING HIGH RESOLUTION SATELLITE DATA AND AERIALPHOTOGRAPHS"Proceeding of 23rd Asian Conference of Remote Sensing. 23(CD-ROM). 6 (2003)
[文献書誌] Umezaki M, Ohtsuka R: "CHANGING MIGRATION PATTERNS OF THE HULI IN PAPUA NEW GUINEA HIGHLANDS"Mountain Research and Development. 22(3). 256-262 (2002)
[文献書誌] Umezaki M, Ohtsuka R: "ADAPTIVE STRATEGIES OF HIGHLANDS-ORIGIN MIGRANT SETTLERS IN PORT MORESBY, PAPUA NEW GUINEA"Human Ecology. 31(1). 3-25 (2003)
[文献書誌] Ohtsuka R, et al.: "ENVIRONMENTAL, HEALTH AND ECONOMIC CONDITIONS PERCEIVED BY 50 RURAL COMMUNITIES IN BANGRADESH"Journal of Human Ergology. 31. 13-21 (2002)
[文献書誌] 大塚柳太郎(編著), 口蔵幸雄(共著), 梅崎昌裕(共著): "ニューギニア:交錯する伝統と近代"京都大学学術出版会. 246 (2002)

2002 年度 実績報告書

高解像度衛生データを用いた土地利用分析の人類学への応用

研究代表者

大塚 柳太郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60010071)

研究成果

[文献書誌] Umezaki M, Pahari K, Jiang H: "LAND USE OF THE LI-SPEAKING PEOPLE IN A MOUNTAINOUS AREA OF HAINAN ISLAND, CHINA : IMPACT OF NATIONAL NATURE RESERVE ESTABLISHED IN 1986"Proceeding of 23rd Asian Conference of Remote Sensing. 23(CD-ROM). 6 (2003)

[文献書誌] Pahari K, Umezaki M, Jiang H: "A STUDY ON LAND USE AND ENVIRONMENT IN TONZA CITY AREA IN HAINAN PROVINCE, CHINA : TWENTY YEARS OF CHANGE"Proceeding of 23rd Asian Conference of Remote Sensing. 23(CD-ROM). 7 (2003)

[文献書誌] Umezaki M, Ohtsuka R: "CHANGING MIGRATION PATTERNS OF THE HULI IN PAPUA NEW GUINEA HIGHLANDS"Mountain Research and Development. 22(3). 256-262 (2002)

[文献書誌] Umezaki M, Ohtsuka R: "ADAPTIVE STRATEGIES OF HIGHLANDS-ORIGIN MIGRANT SETTLERS IN PORT MORESBY, PAPUA NEW GUINEA"Human Ecology. 31(1). 3-25 (2003)

[文献書誌] Ohtsuka R, et al.: "ENVIRONMENTAL, HEALTH AND ECONOMIC CONDITIONS PERCEIVED BY 50 RURAL COMMUNITIES IN BANGRADESH"Journal of Human Ergology. 31. 13-21 (2002)

[文献書誌] 大塚柳太郎(編著), 口蔵幸雄(共著), 梅崎昌裕(共著): "ニューギニア:交錯する伝統と近代"京都大学学術出版会. 246 (2002)

2002 年度実績報告書

大塚柳太郎東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60010071)