新機能材料創製を目指し、IV族系フラクタル構造半導体の作製法ならびにその電子状態評価と制御について研究を行なっている。フラクタルは数列で記述される非周期構造である。これまでに構築した結晶成長制御システムではフラクタル構造を特徴付けるフラクタル次元を入力することによりガス供給シーケンスのもとになる数列パターンを発生し、それをもとにガス供給バルブを直接制御することを可能にした。この制御システムを有するSiGeC系MOVPEでは相互拡散の少ないSiGeC/Si超格子構造が可能となったが、C組成制御に課題を残していることが分かった。現在、制御性向上のため有機Ge材料であるTMGeとTEGe併用の検討を行なっている。 一方、自己組織化などの自然現象の持つフラクタル性を制御する材料合成法の開発を行なっている。これに必要な構造指標であるフラクタル次元の評価、同定法として画像処理におけるボックス・カウンティング法を適用し、ナノ多孔質シリコンにおいて電子顕微鏡写真よりフラクタル次元の算出を行なった。また外場印加時のバンド構造(準安定コヒーレンス・局在状態)や誘電率変化の評価方法として、エレクトロ・リフレクタンス及びインピーダンス測定のシステムを構築した。フラクタル性の期待できるナノ・ダイヤモンド薄膜についてインピーダンス測定を行い、ホッピング伝導に起因する考えられる電気的非線形性を観測した。今後、フラクタル次元をパラメータとした、これらの物性測定評価を進める。
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