ピーポッドの形態と内包される金属・分子内包フラーレンの分子構造

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14350007
• 研究機関: (財)高輝度光科学研究センター
• 研究代表者: 高田 昌樹 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門I・構造物性Iグループ・グループリーダー, 主席研究員 (60197100)
• 研究分担者: 加藤 健一 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部I・動的構造チーム, 研究員 (90344390)
• キーワード: 金属内包フラーレン / 放射光粉末X線回折 / マキシマムエントロピー法 / 電子密度解析 / 構造解析 / 電荷移動

研究概要

本研究の目的は、ピーポッドを形成するナノチューブに内包される金属・分子内包フラーレンの電子密度レベルでの構造を、放射光精密構造解析によって明らかにし、それによって、チューブ内での金属・分子内包フラーレン間または、チューブとの相互作用を、チューブとフラーレンの種類によって系統的に明らかにし、ピーポッドの構造形態との相関を構築することであった。ピーポッドを形成するいくつかの新規金属内包フラーレンについて放射光実験施設SPring-8を用いたX線粉末回折データをMEMにより解析し、フラーレン化合物の電子密度レベルでの更なる精密な構造を明らかにすることができた。
電子密度レベルで構造を明らかにすることができたのはSc_3N@C_<68>、Gd@C_<82> Y_2C_2@C_<82>、で、本科研費で構築した並列化MEMプログラムのENIGMAを用いた電子密度解析システムを利用し、フラーレンに内包された金属からフラーレンケージの電荷移動量や結合形態の解明を行った。水溶性フラーレンGd@C_<82>の電子密度解析から、Gdのフラーレン内での位置が、理論計算とは異なる特異な位置にあること、分子として強い電子極性をもち、水溶性との深い関係があることがわかった。この情報は、ナノチューブに入れてピーポッドを形成する際の重要な構造情報となる。また、Y_2C_2@C_<82>についても、詳細な金属内包構造が明らかになった。

研究成果

• [文献書誌] 高田昌樹: "Stability of magnesite and its high-pressure form in the lowermost mantle."Nature. 42. 60-63 (2004)
• [文献書誌] 高田昌樹: "Quantum Chemical Study on the Configurations of Encapsulated Metal Ions and the Molecular Vibration Modes in Endohedral Dimetallofullerene La_2@C_<80>"J.Am.Chem.Soc.. 126. 364-369 (2004)
• [文献書誌] 高田昌樹: "Low-glancing-angle x-ray diffraction study on the relationship between crystallinity and properties of C_<60> field effect transistor"Appl.Phys.Lett.. 84. 520-522 (2004)
• [文献書誌] 高田昌樹: "Anomalous endohedral structure of Gd@C82 metallofullerenes"Phys.Rev.B. (in press). (2004)
• [文献書誌] 高田昌樹: "Structures of a Single-component Palladium Complex with Extended TTF-type Dithiolate Ligands, Bis(tetratiafulvalenedithiolato)palladium Determined by Powder X-ray Diffraction"Chemistry Letter.. 132. 1106-1107 (2003)
• [文献書誌] 加藤健一: "Direct observation of charge transfer in double-perovskite-like RbMn[Fe(CN)_6]"Phys.Rev.Lett.. 91. 255502 (2003)