研究課題/領域番号 |
14350014
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
下田 正彦 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, 主席研究員 (60343836)
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研究分担者 |
蔡 安邦 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, ディレクター (90225681)
石井 靖 中央大学, 理工学部, 教授 (60143541)
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キーワード | 準結晶 / 清浄表面 / エピタキシャル膜 / 単元素炭層膜 / STM / RHEED / XPD |
研究概要 |
準結晶の表面を利用して新しい材料を創製することを目指し、そのための基礎研究を行っている。本年は当初に掲げた目標のうち、以下に関して成果があった。 1.清浄準結晶表面の作成 icosahedral相準結晶AlCuFe、およびξ相近似結晶(=準結晶と局所構造が似た結晶)AlPdMn(orthorhombic)を対象に、これらの清浄表面創製に必要なイオン照射と熱処理の効果を調べ清浄化の方法を確立した。すなわち、XPS、UPS、XPD、RHEED、STM、STSを用いて、組成変化(XPS)、擬ギャップの生成などの電子状態変化(XPS、UPS、STS)、イオン照射による結晶化と準結晶の局所的5回もしくは10回対称構造(RHEED、XPD)、表面のステップ&テラス構造(STM)を観察した。その結果、イオン照射によっていずれの表面も結晶化すること、結晶は多重双晶状態で各ドメインはbccタイプで(110)面が基板表面に対し平行であること、適切な熱処理(600〜800℃)で準結晶化(または近似結晶化)することを確認し、さらに準結晶化に伴いフェルミ面での状態密度が減少し、理論で予想されている擬ギャップが生じることを見出した。 2.金属蒸着膜の構造と成長機構 これまでdecagonal相AlCoNiの擬10回対称面において、Inをサーファクタントに利用することにより、Au-AlやPt-Alのエピタキシャル合金膜の作製に成功している。単元素のエピタキシャル膜を得るには、より表面エネルギーが小さく下地に含まれる元素と合金を作りにくい金属がふさわしいと考え、Snの薄膜作製を試みた。真空蒸着法では3次元的に成長する膜しか得られなかったが、表面拡散を利用する方法を開発し、単元素単層膜の作製に成功した。構造についてはSTMで見る限り下地の準周期構造を反映したエピタキシャル膜であると考えられる。しかし、原子レベルの分解能が得られていない上、RHEEDの回折像も得られていないのでさらなる調査が必要である。
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