研究概要 |
本年度は,3次元フォトニック結晶の作成,ナノ構造の導入技術の確立に重点を置いた。3次元フォトニック結晶の作成は、まずInP基板上に化学気相成長(CVD)法により製作したSiO_2薄膜に、電子線リソグラフィ法を用いて周期0.5ミクロンあるいは0.3ミクロンの円座標パタンを製作した。この円座標パタン上ヘバイアス・スパッタ装置を用い,オートクローニング法でTa_2O_5とSiO_2の多層構造を作成した。多層膜の周期は円座標周期と合わせている。得られた円座標3次元フォトニック結晶のバンドギャップの評価を顕微分光法をベースにした反射スペクトルの測定によって行った。測定は、円座標3次元フォトニック結晶の断面、およびスパッタエッチ法により円座標試料側面を円形に切り出して行っている。 また半導体ナノ構造をフォトニック結晶内に導入するため,フォトニック結晶を作成するための積層プロセスを一時中断し,その上に半導体ナノ構造を形成した後,再び多層構造を積層する事を検討した。ナノ構造の形成を行うため、フォトニック結晶をスパッタ装置から有機金属化学気相成長(MOCVD)装置(現有)に移動させ,MOCVD法でZnOなどの紫外あるいは可視領で域発光するII-VI族半導体ナノ構造を形成する方法を試みた。 予備実験として、Ta_2O_5とSiO_2酸化物多層膜上にZnMgOにはさまれたZnO量子構造を作製し、反射スペクトルおよび室温での発光スペクトルを測定した。またこれらのスペクトルの入射角度依存性を測定した。現在解析を行っている。さらに、フォトニック結晶内に導入する新たな量子構造として、ZnO量子ドットをZnMgO上に成長する成長条件を探索している。
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