研究概要 |
LSI内の銅配線は2010年頃には最小幅が50nm程度まで縮小すると予想されており,このような極微細銅配線形成法としてCVDが期待されている.しかし,従来のCVDでは構内の全ての面で堆積速度が同じになるため,(1)欠陥や不純物が溝内に多くなる,(2)結晶サイズが溝幅の半分以下になる等の問題がある.本研究では,上述の問題点を解決するためにプラズマCVDにより穴底から優先的に堆積が進む異方性CVDを確立することを目的としている. 本年度は,製膜表面への銅ラジカル・水素原子・イオンの照射量を独立に制御可能な装置を試作し,異方性CVDに対するイオン照射,水素原子照射の効果を調べた.その結果,基板表面へのイオン照射量が多いほど,また200eV以下の範囲ではイオンエネルギーが高いほど,異方性が高くなった.一方,水素原子照射による異方性の変化はなかった.さらに,溝側壁に成膜が生じず,穴底からのみ優先的に成膜が生じる条件があること,このような成膜により微細溝を完全に埋め込めることを実証した. 来年度は,製膜初期過程を詳細に検討することにより異方性製膜が生じる機構を解明するとともに,膜質評価を行い膜の高純度化,低抵抗化,大結晶サイズ化等の高品質化を行う予定である.
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