研究概要 |
LSI内銅配線は2010年頃には最小幅50nm程度まで縮小すると予想されており,このような極微銅配線形成法としてCVDが期待されている.しかし,従来のCVDでは溝内の全ての面で堆積が生じるため,(1)欠陥や不純物が溝内に多くなる,(2)結晶サイズが溝幅の半分以下になる等の問題がある.本研究は,上述の問題を解決するためにプラズマCVDにより穴底から優先的に堆積が進む異方性CVDを確立することを目的とし,以下の成果を得た. 1.サブミクロンサイズの溝の側面には製膜が生じず,溝底面から優先的に堆積が生じる異方性プラズマCVDを実現した. 2.異方性プラズマCVDでは,溝が狭くて深いほど製膜速度が速くなる. 3.異方性プラズマCVDでは,条件により溝が完全に埋め込まれたところで製膜が自己停止する. 4.異方性プラズマCVDでは,条件により側面のみならず表面にも製膜が生じず溝底面のみに製膜が生じる. 5.イオン照射が生じる面のみに製膜が生じることが,異方性プラズマCVDの製膜機構である. 6.モンテカルロ法を用いた形状シミュレーションにより,底面での製膜ラジカルの表面反応確率が0.7以上で,側面での値が0.4以下であれば,実験で得られる製膜形状がほぼ再現されることが分かった. 製膜機構の解明,膜質の評価と高品質化が残された重要課題である.
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