研究概要 |
1.GaAs/AlGaAs導波路作製プロセスの最適化 カスケードデバイスに不可欠な高い変換効率を実現することを目指して,低損失・高効率デバイス作製のためのプロセス最適化をおこなった。化学的機械研磨(CMP : chemical mechanical polishing)によるテンプレートの平坦化について検討をおこなった結果,パッドにSURFINを,スラリーにNaOCl(6g/l, INSECNIB)を用いて,印加圧力60g/cm^2で5nm以下の平坦化を実現することができた。CMPによって平坦化したテンプレート上で再成長をおこなうための基板処理法能についても検討し,塩酸・過酸化水素系エッチャントを用いたエッチングにより,保護酸化膜を形成することで良好な再成長が可能であることを見出した。並行して,ドメイン境界の垂直に保持した再成長を実現できる成長条件の特定にも取り組み,ドメイン境界の伝播方向がMBE再成長時のV/III比(As flux/Ga(Al)flux)と成長するAlGaAsの組成に強く依存することをあきらかとした。また,平坦化テンプレート上での再成長時に発生する段差の復活についても検討を加え,低温成長(基板温度300℃)によってこれを抑制できることをあきらかにした。 2.InP基板上副格子交換エピタキシーの研究 InP基板上へ化合物半導体疑似位相整合非線形光学デバイスを作製するために,InP基板上副格子交換エピタキシーの実現に初めて取り組んだ。IV族中間層としてGe(InPに対する格子不整合-4%)を,III-Vエピタキシャル層にはInPに格子整合するIn_<0.53>Ga_<0.47>Asを用いた。[01^^-1]方向に4°傾斜させた(100)InP基板上にInGaAsバッファ層を挿入し,臨界膜厚よりも厚く(100Å以上)Geを成長した後にInGaAsを成長することで副格子交換が実現できることを始めて見出した。また,緩和Ge層上に反転GaAsを良好な結晶品質で成長することができることも確認した。これによってInP基板上でInGaAsP系レーザとAlGaAs系非線形光学デバイスをモノリシックに集積化できる可能性が開けた。
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