研究課題/領域番号 |
14350034
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用光学・量子光工学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐々木 孝友 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50029237)
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研究分担者 |
吉村 政志 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60314382)
森 勇介 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90252618)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 非線形光学結晶 / BABF / 結晶構造 / 結晶育成 / 波長変換 / 紫外光発生 / ホウ酸化合物 / 溶液成長 |
研究概要 |
新しい波長変換結晶として開発した非線形光学結晶BaAlBO_3F_2(BABF)は、真空紫外領域の波長変換において優れた特性を持つKBe_2BO_3F_2(KBBF)と類似の結晶構造を持つことから、同様の光学特性が期待される。加えて、KBBFのように合成時に有毒なBeを扱わなくて良いため、実用の観点からも優れた材料と言える。しかしながら、著者らが見いだした非線形光学結晶BABFは、光学特性評価を行うのに十分な高品質結晶が得られていないため、その結晶育成が大きな課題となっていた。本研究において、セルフフラックス溶液にNaFを添加した育成溶液を準備し、さらに結晶成長を溶液中で行う(MSSG法)を導入することによって、初めて15×15×3.5mm^3の透明な単結晶を得ることに成功した。 この結晶から切り出した素子により屈折率を測定し、屈折率分散式(セルマイヤー方程式)を決定した。また、紫外領域での吸収端を評価したところ、165nmという極めて短い波長まで透過することが明らかになった。次に、第2高調波発生(SHG)による短波長紫外光発生実験を行い、タイプ1方式で273nm光まで、タイプ2方式で389nm光まで発生することを実験的に確かめた。導出したセルマイヤー方程式からの位相整合の計算結果とよく一致していることから、式の高い信頼性も確認できた。この計算予測によると、SHGの短波長側の限界波長は273nm(タイプ1)、381nm(タイプ2)となり、当初期待していた真空紫外光の発生までには至らないことが判明した。真空紫外光を得るには、SHGの代わりに和周波混合方式を用い、長波長との組み合わせの波長変換を検討する必要がある。一方、理論計算によって、非線形光学定数はd_<22>=1.32pm/Vという大きな値を有することが明らかになり、可視域での波長変換において優れた特性を持つことが明らかになった。
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