VCSELアレイを用いた超小型・超高速光並列顔認識装置の試作

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14350036
• 研究機関: 日本女子大学
• 研究代表者: 小舘 香椎子 日本女子大学, 理学部, 教授 (20060668)
• 研究分担者: 神谷 武志 大学評価学位授与機構, 教授 (70010791) ; 清水 賀代 日本女子大学, 理学部, 助手 (20318794)
• キーワード: VCSELアレイ / VCSELアレイモジュール / マルチレベルゾーンプレートアレイ / 多光源マルチビーム光学系 / 小型・高速光並列相関器 / ハイブリッド顔認識システム / 高認識速度 / バイオメトリクス認証装置

研究概要

(1)並列度向上と超小型化に向けたVCSELアレイを用いた多光源マルチビーム光学系の構築
並列度向上を目指した検討としてVCSELアレイを用い光源部をモジュール化した。2次元垂直型面発光レーザ(VCSEL)アレイとして市販品ではピッチ間隔(30〜250μm程度)が狭すぎるので、シングルベアチップVCSEL(特注)を用い、ピッチ間隔が3.98mmのアレイを作製した。コリメートレンズとして用いるマルチレベルゾーンプレートアレイ(MLZPA)は光量を重視して高NA(0.187)とし、2〜8レベルを組み合わせハイブリット化して効率(58%)向上をはかった。また異種レベル間に生ずる位相の不整合の補正を行った。12チャンネルの多光源モジュールはVCSELとMLZPAを組み合わせ、湿度制御用のペルチェ素子を搭載した。さらに各チャンネルの光量をプログラマブルに制御できるソフトを作成し、これを用いてチャンネル毎に均一な光強度を形成し、従来の光並列演算に新たな制御性を付加した。この試作モジュールにより、従来の100〜150mm光学系から20mm程度への薄型化と4から12への並列度向上を実現した。
(2)超小型光並列顔認識装置(光コンピュータ)の原理確認実験
試作した12チャンネルのVCSELアレイモジュールを用い、小型・並列化した相関器により光演算を行った。各チャンネルに自己相関と相互相関画像を入力し、並列演算を行う相関信号を取得し、全てのチャンネルにおいて良好な自己相関信号を得、十分な識別が可能である事を確認した。
(3)システム速度の高速化
コンピュータと光並列相関器を組み合わせたハイブリッド顔認識システムでは、光電信号の入出力変換用デバイスとしてSLMと、CCDを用いているので、ピデオレート(33ms)の制約があり応答速度が遅く、演算処理の高速化のボトルネックになっている。
本研究では画像表示用に高速応答の強誘電性液晶(Ferroelectric Liquid Crystal : FLC)を用いた高速システムを採用した。LCOSアクティブマトリックス駆動方式により400μsでの高速表示を可能とした。画像表示素子をFLC-SLMに、受光素子をフォトディテクタとした相関演算システムにより応答速度が従来の1/3倍の200msとなり、また1秒間に1000回のスイツチングに成功した。

研究成果

• [文献書誌] 稲葉利江子, 柳沼良知, 渡邉恵理子, 小舘香椎子: "モバイル環境における光学的顔画像認識システム"電気学会論文誌. 122-C・8. 1259-1265 (2002)
• [文献書誌] 渡邉恵理子, 稲葉利江子, 小舘香椎子: "光学式小型顔認識装置の開発とその評価"画像電子学会誌. 131・5. 848-856 (2002)
• [文献書誌] Kashiko Kodate, Rieko Inaba, Eriko Watanabe, Takeshi Kamiya: "Facial Recognition by Compact Parallel Optical Correlator"Measurement Science and Technology. 13・11. 1756-1766 (2002)
• [文献書誌] 稲葉利江子, 相澤清晴, 小舘香椎子: "個人顔認識のデータベースにおけるメタデータの提案"電子情報通信学会論文誌. (to be published). (2003)
• [文献書誌] Eriko Watanabe, Noriko Takeda, Kashiko Kodate: "Fabrication and evaluation of facial recognition system based on PJTC using two-dimensional VCSEL array module"Proceeding of SPIE. 5005(to be published). (2003)