研究代表者は本課題において、シリコンテクノロジーの革新を目指して、シリコン原子のレーザー冷却技術を世界に先駆けて開発することを目的としている。シリコン原子のレーザー冷却技術の開発は、シリコン原子の運動制御、原子波の波束制御を実現し、新たにシリコン原子リソグラフィー技術、シリコン原子ホログラフィー技術、シリコンアイソトープデザイン技術の技術開発につながると期待できるためである。 平成15年度は、シリコン原子ビームのレーザー冷却の度合いを調べるための、共鳴レーザービームによるビーム断面プロファイル測定技術を開発した。シリコン原子ビームを電子ビーム蒸発に依り発生させ、共鳴するレーザーを照射することに依り、その散乱光を高速電子シャッタ内蔵ICCDカメラを使って計測することで、ビーム断面プロファイルを測定した。特に光源の性能が要求されるが、共鳴する252nmのレーザーは、既に開発している深紫外コヒーレント光源を用いた。周波数の安定性などの条件は満たされていたが、CCDの感度を考慮すると更に高出力化が望まれた。そこで、和周波発生用共振器の最適化を図り、モードマッチング、光インピーダンスマッチングなどをおこなうことで、更に3倍以上高出力化を実現した。 また、その周波数を精密にあわせるための、分光技術を開発した。単一周波数CW深紫外コヒーレント光源に依る、シリコン原子の同位体フリーのスペクトルは初めてであり、この技術を活用することに依り、最適な周波数に同調できることを実証した。
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