本研究では、まず第一に、シリコン原子に共鳴する252nmのレーザー光源システムを開発し、共鳴レーザービームによるシリコン原子ビーム断面プロファイル測定技術を開発した。光源の高出力化のために、和周波発生用共振器の最適化を図り、モードマッチング、光インピーダンスマッチングなどをおこなうことで、更に3倍以上高出力化を実現した。 また、その周波数を精密にあわせるための、分光技術を開発した。単一周波数CW深紫外コヒーレント光源に依る、シリコン原子の同位体フリーのスペクトルは初めてであり、この技術を活用することに依り、最適な周波数に同調できることを実証した。シリコン原子をレーザー冷却するための、周波数固定技術を開発するために、まずスペクトル幅0.1nm程度のナノ秒チタンサファイヤレーザーの第3高調波を用いて、広帯域に光ガルバノ分光実験を行った。その結果、レーザー冷却遷移と同様の3重項状態間の遷移の、6本のうち4本が観測できた。次に共振器内部にエタロンを内蔵したナノ秒チタンサファイヤレーザーの第3高調波による、レーザー冷却波長での光ガルバノ分光実験を行い、スペクトル幅が数GHzで、シリコンのドップラー広がりと同程度のレーザー線福を観測した。さらに研究代表者が開発したCW単一周波数深紫外コヒーレント光源を用いて光ガルバノ分光を行い、シリコン原子(質量数28)から周波数シフトした位置に、同位体シリコン原子(質量数29)のスペクトルを初めて観測した。 さらに、CW単一周波数深紫外コヒーレント光源において、その周波数制御を簡便にできる手法を発案し、周波数精密制御性を実証した。
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