研究概要 |
静磁場強度2.34T(テスラ),室温開口径40cm,均一静磁場領域16cm球の水平開口型超伝導磁石と,本研究で新たに開発した,4チャンネルアレイ型勾配コイル,100MHz4チャンネル超並列MR送受信システムを用いて,同時に4体のヒト胚子撮像を可能とする超並列MRマイクロスコープシステムを構築した.4チャンネルのプローブのRFコイルは,交換可能となっており,10mm,12mm,15mm,20mmと,それぞれ試験官の外径に対して最適化したRFコイルが使用できるものとした.このシステムを用い,京都大学において,1960年代に組織的に収集され,化学固定されたカーネギーステージが19〜23のヒト胚子約600体を,保存液(10%ホルマリン溶液)に浸した状態で,TR(繰り返し時間)100ms, TE(エコー時間)8msのT1強調三次元スピンエコー法を使用して三次元撮像を行った.画素のマトリクスサイズは128×128×256,画素サイズ(空間分解能)は100〜160ミクロン立方,計測時間は約8時間であった.画像の信号対雑音比は良好であり,神経系,内臓などの解剖学的構造の描出に成功した.また,これらの画像を,256×1256×512画素にフーリエ内挿し,三次元回転することにより正中断面に平行な断層面の画像マトリクスに変換し,解剖学的構造評価が可能なデータベースの基礎データとした.このように,正中断面を検索画面とする,胚子の高分解能三次元画像の集積に成功した.
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