研究課題
製作したインバー管で挟んだNbTi編組導体の熱収縮を測定するため2mの長尺クライオスタットを製作し、石英との比較で熱収縮を測定する装置を作った。測定により、通常の超伝導導体よりもはるかに小さな熱収縮であることを実証した。我々が提唱するこの構造の導体を用いた実証磁石モデルの励磁実験は米国フェルミ国立加速器研究所において、共同実験として行った。無事に冷却を進め75kAの定格電流に到達したあと、104kAの最高電流に到達することが出来た。日本が考案した非対称鉄によるシングルアパーチャーの磁石構造も非常に小さなモデルであるが、この時の装置に組み込むことで、同時にテストすることが出来た。日本独自のテストとしては、無収縮導体を用いたクライオスタットの設計を行い、日本で試作を完成させることができた。現在この励磁試験が準備されている。このような新しいタイプの超伝導磁石は加速器の建設コスト、運転コストを大きく引き下げ、新たな応用の展開が考えられるが、スーパーバンチ加速との組み合わせにより、KEK1 2GeV PSの超伝導化などの提案も成されるようになった。将来の実際的応用には長い冷却系を通しての冷却であるため、より高い温度での運転も必要になるが、これにはNb3Sn線を用いることができる。我々が開発したDT法Nb3Sn線材は12Tで2000A/mm^2の電流密度を達成した。これらの結果により将来の加速器建設に提要可能な大電流無収縮超伝導導体の開発は当初の目的を達成し、現実性を実証することができただけでなく、今後の発展の可能性を大きく広げたといえる。
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