研究課題/領域番号 |
14350043
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物理学一般
|
研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 (2004) 高エネルギー加速器研究機構 (2002-2003) |
研究代表者 |
和気 正芳 高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 助教授 (90100916)
|
研究分担者 |
新冨 孝和 高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 名誉教授 (10016082)
佐藤 皓 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (80100816)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
キーワード | 超伝導磁石 / 熱収縮 / 加速器磁石 / 大電流線材 / high current / VLHC / pipetron |
研究概要 |
電磁力が働かない超伝導磁石を用いた加速器「パイプトロン」を目指し、導体の試作、試験装置の開発を行った。加速器の概念設計としては、ルミノシティを格段に高めるためスーパーパンチ方式での衝突器を考えているが、その具体化について他グループとの協力を進めた。線材の試作は、256本のNbTi線を用いて編線の製作し、これをインバー管で挟み込む方式で行った。拡管方式と縮管方式を両用してドローベンチで仕上げ、大電流の無収縮超伝導導体の試作に成功した。特性の測定を行うため、新たなクライオスタットを準備し、予備測定を行った。測定により、通常の超伝導導体よりもはるかに小さな熱収縮であることを実証した。我々が提唱するこの構造の導体を用いた実証磁石モデルの励磁実験は米国フェルミ国立加速器研究所において、共同実験として行った。無事に冷却を進め75kAの定格電流に到達したあと、104kAの最高電流に到達することが出来た。日本が考案した非対称鉄によるシングルアパーチャーの磁石構造も非常に小さなモデルであるが、この時の装置に組み込むことで、同時にテストすることが出来た。この結果により、このような新しいタイプの超伝導磁石は加速器の建設コスト、運転コストを大きく引き下げ、新たな応用の展開が考えられるが、スーパーバンチ加速との組み合わせにより、KEK1 2GeV PSの超伝導化などの提案も成されるようになった。将来の実際的応用には長い冷却系を通しての冷却であるため、より高い温度での運転も必要になるが、これにはNb3Sn線を用いることができる。我々が開発したDT法Nb3Sn線材は12Tで2000A/mm^2の電流密度を達成した。これらの結果により将来の加速器建設に提要可能な大電流無収縮超伝導導体の開発は当初の目的を達成し、現実性を実証することができただけでなく、今後の発展の可能性を大きく広げたといえる。
|