研究概要 |
球面上の偏微分方程式の高速数値解法,特に高速球面調和関数変換法と2重Fourier級数展開法に関して研究を進めた.得られた成果は以下の通りである: 高速球面調和関数変換法 本年度は球面調和関数変換法に対する高速アルゴリズムをFLTSSというライブラリルーチンにまとめ,WEB上で一般に公開した.また,FLTSSを応用プログラム(浅水方程式のテスト用プログラム,回転球面上の乱流シミュレーションプログラム)に実装し,その性能を評価した.そして,シミュレーション全体は数値的に安定に実行され,FLTSSの精度に見合う精度が得られることを確認した. 2重Fourier級数展開法 2重Fourier級数展開法に関する基礎的研究,特に球面上の関数の2重Fourier級数展開の近似精度に関する研究および2重Fourier級数展開を用いた球面上のPoisson方程式の解法の精度に関する研究を行い,以下のような結果を予測するに至っている. (1)球面上の関数のクラス 【numerical formula】 において(この関数空間はradial functionsによる球面上の関数近似の誤差解析のために最近導入されたものでnative spaceとよばれる),もし,max___<-n【less than or equal】m【less than or equal】n>a_<nm>【less than or equal】C(1+n)^<-p>ならば,切断波数Nの2重Fourier級数展開の近似精度はO(N^<-p>),また,max___<-n【less than or equal】m【less than or equal】n>a_<nm>【less than or equal】Cexp(-αn)ならば,近似精度はO(exp(-αN)). (2)Poisson方程式∇^2ψ=ωにおいてω∈X({α_<nm>})とする.このとき切断波数Nの2重Fourier級数展開を用いた数値解法を適用したときの精度は,もしmax___<-n【less than or equal】m【less than or equal】n>a_<nm>【less than or equal】C(1+n)^<-p>ならば,O(N^<-(p-2)>),また,max___<-n【less than or equal】m【less than or equal】n>a_<nm>【less than or equal】Cexp(-αn)ならば,O(N^<-2>exp(-αN)). なお,2重Fourier級数展開法の高速化のためには,FFTの高速化は不可欠である.この方面の研究も進めた.
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