研究概要 |
薄板や立体セルに積極的かつ連続的に膜破壊を誘発させ,折り畳みによる塑性変形と膜破壊を同時進行的に起こさせて,重量当り及び容積当りの衝撃エネルギ吸収量を飛躍的に増大できる軽量セル構造体を開発することを目的として,2年目は以下の研究を実施した. 1.連続破壊を誘発する薄板セル構造形態の探索 昨年度開発した貫通エネルギ計算法を用い,衝撃吸収セル構造材開発の第1の方策として,シート材で構成できる六角形ハニカムや四角形ハニカムなどの短柱状薄板セル構造と貫通破壊を引き起こさせる薄板シートを交互に接着した多層構造を構成し,薄板シートの貫通破壊と柱状セルの圧潰を交互に誘発,進行できる構造形態のセル寸法,板厚,シート材の板厚を変化させたシミュレーションを実施して,エネルギ吸収効果の高いセル構造形態を設計した. 2.薄板セル構造体の衝撃エネルギ吸収効果の実験的評価 アルミニウム合金製シートを素材に,1で設計した薄板セル構造衝撃吸収材を製作し,衝撃破壊・圧潰試験を実施して衝撃吸収効果を測定した.その結果,破壊を誘発するシート材の厚みを増すことでシート材のないハニカムセル構造に比較して2倍程度に増加できることを確認した. 3.三次元立体セル構造形態探索法の確立 衝撃吸収セル構造材開発の第2の方策として,三次元連続体から出発してより一般的な衝撃エネルギ吸収最適形態を探索し,形態を薄板セルに制限した2の結果よりもさらに吸収効果の高い軽量セル構造形態の設計を試み,探索法をある程度確立した 4.連続的破壊を誘発する三次元立体セル構造形態の探索 3で確立した立体セル構造探索法を応用して,圧潰部分が次の破壊を誘発する圧子を自然に形成し,次々と破壊と圧潰が連続的に発生する三次元立体セル構造形態を探索しているが,現在までのところ当初目的とした通常ハニカムセルの10倍程度のセル構造体設計実現に至っておらず,次年度さらなる検討を進める予定である.
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