研究概要 |
本年度は以下の2点について研究を実施した。 1.腎臓結石の機械的性質の測定 腎臓結石の機械的性質を同定するための実験を実施した。患者から手術で摘出した腎臓結石(旭川医科大学から提供)を注意深く研削加工して約10mmの立方体試験片を製作した。測定された縦弾性係数は10GPa程度である。また、腎臓結石は多孔質体であり空隙率は約20%と測定された。 2.応力波による結石衝撃破砕に関する基礎研究 腎臓結石の機械的性質が同定できたので、これと類似の機械的性質を有する材料として石膏を選び直径5mm、厚さ1.2mmの円盤状試験片を製作した。Air Gunを用いた応力波入射装置により試験片に数種類の持続時間を持つ応カパルスを入射させ円盤状試験片の破壊実験を実施した。実際に体外衝撃波結石破砕装置で発生される衝撃波の持続時間は0.6μsecであり、出来るだけこれに近い持続時間の応力波の発生を試みたが、実験で得られた持続時間は最短で5μsecである。その他、持続時間を6,8,10,12μsecに変えた実験も実施した。得られた結論は以下のようである。 (1)持続時間が10μsec以下となると、試験片を破壊するに必要な限界応力波の大きさは急激に増加する。持続時間が5μsecのとき、本装置では試験片を破壊することが出来なかった。 (2)動的有限要素法解析により試験片内の応力状態を解析した。主応力破壊基準により試験片の破壊様相(応力波入射方向に直角)を説明することができた。 破壊限界応力波の振幅にたいする持続時間の影響は試験片内のき裂進展速度と応力の作用時間の関係から定性的に説明できる。
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