イメージベースト重合メッシュ法による不均質体のノンローカル応力解析とその検証

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14350058
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 高野 直樹 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10206782)
• 研究分担者: 倉敷 哲生 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30294028) ; 座古 勝 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40170831)
• キーワード: イメージベース手法 / 重合メッシュ法 / マルチスケール法 / 有限要素法 / モルフォロジー / 立体視 / 多孔質セラミックス / 繊維強化プラスチック

研究概要

イメージペースト重合メッシュ法の開発にあたり、まず、3次元大規模解析を行うため、重合メッシュ法用のソルバーの開発を行った。当初有力と見られた前処理付き共役勾配法について検討したが、種々の前処理法を考案したものの問題により良好な収束が得られなかった。最終的に、外部記憶を用いるアウトコアスカイライン法(プロックスカイライン法)が最適との結論に達し、通常のパソコンに外付けHD(60GB)を付け、約15万要素の大規模解析を実現した。次に、イメージベース手法については、種々のセラミックス多孔体に対し、X線CTによる断層写真からボクセル要素分割を自動的に行うシステムを構築した。その検証のため、従来のマルチスケール法である均質化法を用い、貫通気孔を有するセラミックス多孔体の応力解析を行った。ここで、得られる3次元ミクロ応力分布の評価も重要であるため、専用のビジュアリゼーションソフトの開発に着手した。また、内部の応力分布把握のために立体視のシステムを構築した。さらに、ノンローカル問題においては、微視構造の不均質性を詳細に検討する必要があるとの着想から、微視構造のモルフォロジー分析アルゴリズムを考案し、特に孔の分散状態とミクロ応力集中の相関性について検討した。上記の大規模解析用重合メッシュ法の適用例として、制御された多孔質セラミックス薄膜の界面き裂近傍におけるミクロ応力解析を行った。き裂先端近傍でのマクロな応力勾配の影響を考慮したノンローカル応力解析が可能であることを確認した。多孔質セラミックス以外の適用例として、繊維強化プラスチックについても研究を行い、微視的不均質性に起因するノンローカルな現象を捉えるため、大ひずみ分布のイメージベース計測手法の開発を行い、深絞り成形や真空成形への適用を行い、有効性を確認した。

研究成果

• [文献書誌] 高野直樹, 座古勝, 奥野義紘: "Multi-scale finite element analysis of porous materials and components by asymptotic homogenization theory and enhanced mesh superposition method"Modelling and Simulation in Materials Science and Engineering. 11・2. 137-156 (2003)
• [文献書誌] 高野直樹: "State-of-the-art of the multi-scale analysis of advanced composite materials by homogenization method"Journal of the Korean Society for Composite Materials. 15・5. 44-52 (2002)
• [文献書誌] 高野直樹, 座古勝: "多孔質セラミックスのイメージベース応力解析ツールの開発"日本機械学会第15回計算力学講演会講演論文集. 289-290 (2002)
• [文献書誌] 高野直樹, 座古勝, 奥野義紘: "Multi-scale Finite Element Analysis of Porous Ceramics Joint"Proc. JSME/ASME International Conference on Materials and Processing. 2. 47-52 (2002)
• [文献書誌] 奥野義紘, 高野直樹, 座古勝, 辻村幸治: "重合メッシュ法による多孔質セラミック接合体の効率的マルチスケール解析"日本複合材料学会第27回複合材料シンポジウム講演要旨集. 227-228 (2002)
• [文献書誌] 藤津麗子, 高野直樹, 座古勝, 西籔和明: "デジタルイメージベース計測を用いた編物複合材料の成形中の大変形特性評価"日本複合材料学会第27回複合材料シンポジウム講演要旨集. 189-190 (2002)