研究概要 |
2003年度はZr_<55>Cu_<30>Al_<10>Ni_5 at %からなるナノ結晶が分散析出しているガラス合金板材および同組成の結晶化がほぼ完了したガラス合金板材を作製し,これらの破壊靭性試験をASTM規格に準拠して実施した.試験片はCTタイプとし,板厚Bと板幅Wの比は1:4一定で,Bは2.3mmと1mmとした.疲労き裂挿入後,破壊靭性試験を実施した. その結果,XRDパターンがほぼブロードなピークを示しナノ結晶が析出している程度のアモルファス度が大きい試験片において,破壊靭性値は平均で34.0MPa√m〜最大で41.1MPa√mを示した.破面はベイン模様を示した.ほぼ結晶化が完了したガラス合金板材の破壊靭性値は平均で8.9MPa√m,最大で12.5MPa√mと小さかった.これは結晶化による脆化のためと考えられる.SEMによる高倍率(10k以上)の破面観察において小さなベイン膜様(1μm程度)が見られ,若干のアモルファス相の残存を確認した. アモルファス単相と考えられるRitchieらのBe入りZr基バルク金属ガラスの破壊靭性値(約40MPa√m)を考慮すると,少なくともナノ結晶が分散している程度以上のアモルファス度が高いZr基バルク金属ガラスの破壊靭性値は約40MPs√mとかなり大きいものと考えられた. き裂伝ぱ方向が湯境線に垂直な方向と平行な方向では,垂直な方向の破壊靭性値が大きくなった. 上記と同組成成分に主にTaを微量(2,3,5at%)加えて異なる大きさの結晶が析出したガラス合金の作製に取組み,直径が2,3,5mmの丸棒の作製に成功した.これらの組織写真を撮り,結晶の形状・大きさを確認した.現在XRD測定を実施,圧縮試験を実施しているところである.その結果に基づき疲労試験と破壊靭性試験を実施する予定である.
|