本研究は、ナノテクノロジを支援するため、メートル定義に直結するピコメートル分解能の測長法の開発を目指すものである。高フィネスの光共振器の共鳴を利用して、共振器長の変化を基準周波数安定化レーザ(長さ標準)とのビート信号の周波数変化として捉え、この校正・検証を結晶格子の格子間隔で行うものである。本年度は、以下の事項を行った。 (1)光共振器・測定システムの試作 前年度のシステム設計を基に、光共振器・測定装置の設計を行った。共振器の片方のミラーを高剛性の平行ばね型ステージに載せ、その駆動にはピエゾアクチュエータを採用した。フィネスが100〜400の共振器ミラーを採用した。共鳴光を発する光源として周波数可変半導体レーザを採用した。共振器ミラーの共鳴情報をロックイン検出で得るためのマイクロ波ミキサ、マイクロ波フィルタから成る回路を試作した。ビート信号を得、記録する回路・ソフトウェアを開発した。 (2)光共振器共鳴フィードバック実験 上記で試作したシステムを用い、半導体レーザの周波数を光共振器の共鳴周波数に一致させるフィードバック回路・ソフトウェアを試作した。また、このとき光共振器の一端をピエゾアクチュエータで動かし、共振器長変化に伴う共鳴周波数のシフトを、基準レーザとのビート信号で捉え、レーザ干渉測長機などとの変位測定と比較した。フィネスが低いながら、1ナノメートル程度の測長分解能が得られた。 以上の設計により、所期の研究目的を達成する目処がついた。
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