研究概要 |
本研究では,超薄型多機能デバイス基板として水晶振動子,ニオブ酸リチウム,ニオブ酸カリウム,PZT(チタン酸ジルコン酸鉛),チタン酸バリウムの5種類に注目している.いずれの材料も厚さは10μm以内を求められており,薄型加工に伴う飛躍的な性能向上により更なる用途が広がることが期待されている. 本年度は基板取扱技術(ハンドリング技術)の改善を中心に研究を行った.デバイス基板は水晶振動子(水晶基板),チタン酸バリウムを中心とし,新たに関連業界からの強い要求に対応するため8インチシリコンウェハの薄型化(薄片化)にも取り組んだ. 水晶基板は素材外周部を含めた仕上げ状態(欠けやだれ,平面度,平行度)の改善,面だれの皆無な加工方法の開発を行い,目標値を達成できた.また,量産化を目的とし,現状では薄型化加工した基板の回収が難しい光学密着法による固定方法から,セラミックス製多孔質真空チャックを応用した真空吸着法へ変更した.最終基板厚さは10μmと所期の厚さは到達できなかったが,真空吸着法の問題点の洗い出しと緻密な解決を行うことにより,ハンドリング技術の大幅な向上が達成できた.特に,真空チャックに正圧を作用することにより,薄型化加工した水晶基板を容易に回収できる技術に目処を立てた. 積層コンデンサ用チタン酸バリウム基板は入手した試料が400μmと厚く,しかも100μm以上の大きな反りを伴っていたため,湾曲修正を行いながら超薄型化加工を行い,最終厚さ5μmの加工に成功した. 8インチシリコンウェハの薄片化は縦軸平面研削盤によるインフィード研削で行った.切りくずによる目づまり抑制用に気孔を多く含むダイヤモンドホイールを特注し,研削過程における除去機構を解明してホイールスペックをさらに改善し,最終厚さ100μmまでの加工に成功した.
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