研究概要 |
本研究では,砥粒加工により3種類の多機能デバイス基板を超薄型化加工する超精密加工技術を開発すると共に,量産技術として確立させることを目的として行った.デバイス基板は水晶基板,チタン酸バリウム(BaTiO_3)およびニオブ酸リチウム(LiNbO_3)である.水晶基板では,薄型化にはポリシング加工時に基板内部に発生するうねりが障害となっており,これらの解決のためにメッキ保護膜の形成技術の改善や円柱埋込式加工法の開発を行った.基板に発生するうねりは,超薄型化加工の核心技術であるメッキ保護膜からの圧縮力であることを坂本らによるシミュレーション計算から突き止め,メッキ形成条件に検討を加えた.その結果,メッキ厚には最適値があることがわかり,そのためのメッキ形成条件(メッキ電圧,メッキ液温,電流密度)を明確にした.また,量産加工を目指して,新たに円柱埋込式加工法を開発し,最終的に4μmの水晶基板の量産化技術の確立に成功した。チタン酸バリウム基板は上記のメッキ保護膜の改善技術を適用することにより最終厚さ13μmまで加工に成功した.ニオブ酸リチウムは直径3インチ,厚さ300μmのウェハに対して薄型化加工を行い,基板全体で1μm以内という優れた平面度のもとで厚さ20μmまでの薄型加工に成功した.最終的に,3インチウェハからダイシングにより2mm×0.4mmのチップを約500個切り出すことに成功した.さらに,遺伝子改変マウスの体内に埋め込んで生体情報を取り込むスマートマイクロセンサーに使用する超小型圧力センサーに対応するため,8インチシリコンウェハの薄型化を気孔形成剤を添加した微粒ダイヤモンドホイールを新たに開発して取り組んだ.研削過程に超音波振動を重畳した研削液を供給することにより,最終厚さ50μmまでの加工に成功し,最終的にダイシングにより1mm角チップとすることができた.
|