本研究は、高機能硬脆材料の機能を損なうことなく高能率な機械加工を実現する為に不可欠な加工時の亀裂発生進展の制御を行うための方法を検討するものである。 まず代表的な硬脆材料であるソーダガラスを対象に、代表的加工油剤である水、空気、スピンドル油中での4点曲破壊試験により、破壊応力を測定することにより表面エネルギーへの影響を検討した結果、硬脆材料の破壊応力、同時に表面エネルギーは水分の存在により低下し容易に亀裂の発生進展が生じ、水分の無いスピンドル油中ではこれらが大きくなることが判明した。ついで微小硬度計により、各油剤中での亀裂発生状態を直接測定した結果、微小圧痕範囲では亀裂発生が無く塑性変形のみが生じること、この範囲は水分を除くことによって大きくなることが判明した。さらに亀裂発生進展を抑制する為、金属を蒸着し、破壊強度と亀裂発生を調べた結果、破壊応力の分散が減少し、表面に分散する亀裂が見かけ上同一サイズに近づく、すなわち硬脆材料が金属的な性質に近づくこと、亀裂発生の圧痕範囲がスピンドル油中よりも更に大きくなることが判った。
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