研究課題/領域番号 |
14350077
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
大西 直之 中部大学, 工学部, 助教授 (60201977)
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研究分担者 |
吉田 國雄 大阪工業大学, 工学部, 教授 (70029338)
難波 義治 中部大学, 工学部, 教授 (40029129)
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キーワード | フッ化カルシウム / 遠紫外レーザ / フロートポリシング / 超精密加工 / 高分解能透過電子顕微鏡 / 表面原子構造解析 |
研究概要 |
本研究の実施計画は、(a)高純度CaF_2単結晶の超平滑加工とその加工表面のナノ構造解析、(b)得られた加工面のレーザー損傷機構のナノレベルでの解析、の2つに大別される。本年度は前年度に引き続いて(a)の研究をさらに発展させるとともに、(b)におけるレーザー損傷実験を本格的に実施した。これらにより以下の成果が得られた。 1.CaF_2単結晶の(111)面をフロートポリシング法(FP)で研磨した面は、CaF_2の(111)格子面が作る原子サイズのステップ(高さ約0.3nm)により構成されていることが前年度の研究で明らかにされたが、(111)劈開面による結晶方位の厳密な測定と予備加工(切り出し)を行うことにより1/100度の精度で方位合わせを行い、より表面粗さが小さく平面度の高い研磨面を得ることができた。 2.CaF_2は電子線照射損傷が起こりやすく、高倍率での透過電子顕微鏡(TEM)による観察は困難であるが、試料作成および観察技術を向上させることにより、上記で得られた研磨面を従来より高解像度で観察、評価することができた。その結果、加工表面には数百nmの広い間隔で原子ステップが存在しており、その間では単位格子1個以下の凹凸しか存在しない、ほぼ理想的な原子レベルの超平滑面が観察領域において得られていることが明らかとなった。また、加工面と(111)面との角度のずれによる加工面の原子構造の変化についてもより詳細な観察・解析を行った。 3.加工精度が一定レベルを超える通常のCaF_2単結晶のレーザー耐力は結晶自体が持つバルクのレーザー耐力に大きく依存し、FP加工を行った低グレードの結晶では加工表面がレーザー損傷を起こす前に内部の損傷によって破壊される場合がある。一方、高品位結晶においては表面損傷が支配的となり、FP加工によって表面粗さが小さくなるほどレーザー耐力が向上することが明らかとなった。
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