研究概要 |
機械や人間に装着し,その振動により自動的に発電する方法を研究した.自動発電としては,腕時計用に回転型の発電機が実用化されているが,その出力は10μW程度と小さい.一般の情報機器に利用するには,少なくとも10mWの出力が必要である,本研究では,可動部質量と入力速度の増大により出力を増大させる,2種の発電機を研究した. まず,高周波微小振幅の入力に対して高効率な直動型発電機を製作した.入力エネルギとして建設機械等の大型人工物からの振動を利用する.外部の振動が加わるとばね支持した永久磁石が振動し,固定したコイルに起電力が生じる.この発電機に対して,入力振動の振幅と周波数が一定の場合に対して最適な設計を行い,大きさ約10cm角で,6Hz4mmp-pの振動入力で約50mWの電力が得られた。次に,入力振幅が変化しても最大効率が得られる発電機を製作した.コイルを分割巻きしておき,マイコンで発電機の出力電圧から可動部振幅を計算し,常に振幅最大となるようにコイル巻き数を切り替えるものである.入力振幅が4mmp-pと2mmp-pで交互に変わる場合について実験したところ,巻き数制御により出力パワーが1.5倍以上増大した. つぎに,回転型発電機の高効率化を検討した.人体運動のように,低周波数大振幅の入力に適するもので,腕時計用の改良を想定している.まず入力が一定振幅,一定周波数の場合について発電量のシミュレーションを行った.その結果,揺動時に比べ,自励回転時に発電量が大きな出力が得られることが分かった.また入力振動が変化する場合について計算し,直動型と同様の,インピーダンス制御により効率が増大することを示した.
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