研究概要 |
機械や人間に装着し,その振動により自動的に発電する方法を研究した.本年度は,発電機の出力を増大する方法として,自励回転による方法と,人の発生力を直接電機子回転に伝える方法について検討した. 1.自励回転による高出力化 外部振動,回転錘の機械インピーダンス,回転錘の初速度が特定の関係を満足すると,錘は大車輪状に回転し(自励回転),発電効率が大幅に向上することを昨年度明らかにした.本年度は,まずインピーダンス制御について,入力振動に応じてコイル巻数を適切に変化させれば,任意の入力に対して自励回転を発生させられることを示した.錘の運動シミュレーションによりラフな発電量の推定を行い,さらにコイル巻数可変な発電機を製作して,実験により有効性を確認した.また初速度制御について,発電機をモータとして使用する方法を考案した.予備の電池を備え,発電開始時に電池から発電機に電力を供給し,適切な回転を与える.これにより自励回転が発生し,その後電源を切り離しても回転が持続することを明らかにした. 2.直接回転による高出力化 従来の自動発電機では,電機子回転力は錘の慣性力のため,携帯機器のように錘が軽い場合には大きな出力が得らない.そこで,人の腕の力を直接かつ無意識に電機子に伝達する方法を検討した.携帯電子機器として,デジタルテープメジャーを対象とした.巻尺のリールの回転により電機子を回転させ,発生電力によりセンサおよび液晶を駆する.まず,市販DCモータを発電機とするマクロモデルを製作し,システム各部のエネルギ損失を詳細に評価した.ついでこの結果にもとづき部品の最適な選定を行い,小型なシステムを製作した.発電機には,腕時計内蔵品を改造したものを用いた.テープを1回引き出すと,数秒間の液晶表示が可能となった.
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