研究概要 |
情報機器のモバイル化により,電源の小型化が課題となっている.本研究ではこの解決のため,機械や人間に装着し,その運動エネルギを電気エネルギに変換する自動発電機を種々考案し,基本性能を明らかにした.外部振動を永久磁石とコイルの相対運動に変換する機構として,内部に慣性体をもちその直線振動を用いるもの,慣性体の回転を用いるもの,外力による変位を用いるものを製作した.それらの出力と慣性体の質量,振動周波数,角速度,電機子の電気機械インピーダンス等との関係を詳細に検討し,出力を最大とする機構条件を明らかにした.さらに製作した発電機を用いて,生体センサ,無線回路,測定器を駆動した.各発電機の概要を以下に示す. 1.直線振動型発電機 機械振動のような高周波微小振幅の入力に対して高効率なことを明らかにした.大きさ約10cm角,6Hz4mmp-pの振動入力で50mWを発生した.コイルを分割巻きし,慣性体の電気機械インピーダンスを制御することで,任意の入力振幅に対して最大効率で稼動させることが出来た. 2.回転型発電機 人の動き,ブイの振動など低周波数大振幅の入力に対して高効率であり,さらに,振動入力に対して慣性体が大車輪状に回転する自励回転を利用すると効率が大幅に増大することを明らかにした.慣性体のインピーダンス制御と初速度制御により,任意の入力振動に対して自励回転を発生させられることを示した.腕時計サイズの発電機により500μWを発電し,電気2重層コンデンサに充電し,瞬時に放電することで,パルスオキシメータと微弱無線回路を駆動した. 3.外力利用発電機 デジタル式巻尺のリール回転により電機子を回転させ,発生電力によりセンサおよび液晶を駆動する発電機を製作した.腕時計サイズの発電機により,テープ1回の引出しで,数秒間の液晶表示が可能であった.
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