研究概要 |
本研究で開発するレーザースキャナーの原理は,既存のレーザー顕微鏡とほとんど同じである.すなわち,走査レンズで微細に絞ったレーザー光(レーザースポット径)を観察対象物に当て,各点の反射光の強度を測定し,光の強弱を基に画像を構成することで対象物を観察するものである.視野を広げるためには走査幅を広げればよいが,現状では走査幅の両端でレーザーのスポット径が大きくなるために解像度が悪くなる.本研究では走査レンズ(fθレンズ)とレーザー走査装置(ポリゴンミラー)を,これまで申請者が研究してきたシュリンクフィッタという新しい機械要素を用いて構成することにより,広視野化と高解像度化を同時に達成するものである. 本年度は,レーザースキャナーを組み立てた.レーザーの走査装置としては,ポリゴンミラーではなく,平面鏡を回転させることとした.光学設計では,結像面上3μmのスポット径を結び,それが10mmの走査域にわたり保証できるようにした.この設計計算には,光学設計ソフトCODE Vを用いた.また,レンズの歪みについては構造解析ソフトMARCを用いた.fθレンズは,シュリンクフィッタを用いて鏡筒に組み込んだ.走査域にわたりスポット系を測定したところ,設計値の3μmに対して,4μと少し大きな値となった.本レーザースキャナーは,共焦点方式であり,観察対象物を高さ方向に移動させて,焦点のあったところのデータを読み込んでいく.試みに,10円硬貨の表面を観察した.10mmの走査幅にわたり,8000点のデータを読み込むことができる.読み込んだデータを画像として表示した結果,良好な像が得られた.高さデータ接触式粗さ計のデータと比較した結果,5%程度の誤差があるものの良好な測定結果をなった.今後,装置の改良を行う予定である.
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