研究概要 |
まずフロロカーボンとしてCF_4をとり挙げ,天井に一巻きのアンテナを有する円筒状プラズマ反応器内におけるプラズマ生成を調べた.プラズマ電流には,「冷たいプラズマ」近似を用いた.プラズマ特性は,(1)パワー吸収はアンテナ直下に限定される,(2)パワー吸収は,アンテナの電流振幅に比例する,(3)正イオンの生成速度は負イオンより1桁大きい,(4)各種イオンのうちCF_4^+の生成速度が最大である. この研究はイオン反応が複雑で未知の部分が多いため中断し,塩素プラズマの研究に移行した.特に,相互に影響を及ぼし合うガス流れと誘導結合プラズマの連成解析法を開発し,このプラズマの特性を明らかにした.塩素プラズマ用の反応器は,アンテナを8巻きした石英筒と,その下の拡散室から成る.得られた成果をまとめると,次のようになる.(1)石英筒の中ではCl_2とClの密度は異なる.Cl_2の密度は,解離反応によって石英筒の中央部で著しく低下するが,拡散室では壁面における再結合反応によって,密度は回復する.ClはCl_2と逆の傾向を示す.(2)電力が一定の場合には,ガス圧が低いときほど電子密度は高くなる.(3)電子エネルギー分布関数は石英室と拡散室では大きく異なる. CF_4プラズマについては,当初の予定を変更し実験的研究に切り換えた.実験により,基板バイアス効果が酸化膜エッチング速度に及ぼす影響を系統的に解明した.具体的には次のようになる.(1)エッチング速度(ER)はデューティ比(DR)を下げると減少し,DR40%でERは零となる.(2)DRを下げて行くと基板にかかるピーク・ツー・ピーク電圧も減少する.(3)バイアスパワーが小さいほど,ERの半径方向の一様性はよい.
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