研究概要 |
研究代表者のグループの従来の研究により、流体機械の様々な不安定現象を大変簡単に制御・抑制する方法が提案され、これまで羽根付および羽根なしディフューザの旋回失速の完全抑制、斜流ポンプの揚程右上がり現象の抑制効果等の画期的な成果を得てきた。この提案は、流体機械の内壁に圧力勾配に平行な方向にごく浅い溝を設けるという方法であり、主流角運動量の減少および主流流量増加の効果が得られ、我々のグループでは、この浅溝のことをJグルーブと名付け、流体機械の旋回に起因する異常流動現象の抑制に応用してきた。 本研究は、従来困難とされてきたターボ機械のキャビテーションを抑制する方法を開発することを目的として、Jグルーブを様々な形式の水力機械に適用して、その有効性を解明しようとするものである。従来キャビテーションの発生そのものを抑えようとする見地から抑制法を検討したものは皆無であり、本研究でその発生を抑制することができれば画期的な成果が期待される。 本年度は、最も激しいキャビテーションの発生が予想されるインデューサに適用した。すなわち、比速度250[rpm, m^3min^<-1>, m]の遠心ポンプに羽根枚数3の平板ヘリカルインデューサのキャビテーション抑制に対する効果を実験的に調べた。Jグルーブはインデューサ先端を挟んだ壁面に軸方向に向けて設け、その効果の検討にはポンプ性能、キャビテーション性能、吸込み比速度によって評価行った。Jグルーブを設けることにより、インデューサ付遠心ポンプの低流量域における吸い込み性能が大きく向上し、また低流量域で発生するインデューサ翼端付近の逆流に起因する非定常現象である旋回逆流キャビテーションに対してはほぼ完全に抑制できることが判明した。
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