キャビテーションを利用した環境保全技術の新展開

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14350097
• 研究機関: 東洋大学
• 研究代表者: 加藤 洋治 東洋大学, 工学部, 教授 (00010695)
• 研究分担者: 山口 一 東京大学, 工学系大学院, 教授 (20166622) ; 田村 善昭 東洋大学, 工学部, 助教授 (40217203) ; 宇佐美 論 東洋大学, 工学部, 助教授 (80256776) ; 徳満 和人 東京大学, 国際産学協同研究センター, 助手 (20180143)
• キーワード: キャビテーション / 環境 / プランクトン / 油 / バラスト水 / 油処理

研究概要

研究課題は大きく2つに分けられる。第1は「キャビテーション現象の理解」である。2番目のものは「キャビテーションを利用した環境保全技術の開発」である。勿論、2つの課題は表裏一体のもので、第1の研究課題の成果を活用し第2の研究課題を行うことによって、環境保全技術の開発を加速させることが出来、また適切な方法、条件を選ぶことが出来る。
「キャビテーション現象の理解」のための研究として、2次元翼型を選び、実験と計算を行った。特に、クラウドキャビテーションの発生機構、崩壊する時の超高圧(1万気圧以上)の発生機構の観察と測定を行った。対応する理論的研究では、キャビテーション気泡を厳密に記述したモデルにより、数値解析を行った。これらの成果は、学術誌、シンポジウム等で発表した。(研究発表の項参照)
「キャビテーションを利用した環境保全技術の開発」の研究としては、本年度は次の課題について実施した。
(1)キャビテーションジェットによる海上流出油の乳化分散
船舶などから海上に油が流出すると、深刻な環境破壊を引き起こす。キャビテーションジェットを海面の油に当てると、油を乳化分散させることが出来ることを見出した。成果は学術誌に発表している。
(2)キャビテーションジェットによるプランクトンの分解
船舶から放出するバラスト水にはプランクトンや魚卵などが生きたまま含まれていて、深刻な環境破壊を引き起こすことがあり、国際海事機構でも大きな問題として対策が議論されている。本研究でキャビテーションジェットによる方法が有効であることを見出した、この方法は簡便で、かつ2次的な影響が無い。(研究発表の項参照)
(3)キャビテーション・ジェットによる有機化合物の分解
クロロベンゼンなどの有害な有機化合物の分解を試みている。

研究成果

• [文献書誌] Konno, A., Kato, H., Yamaguchi, H., Maeda, M: "On the Collapsing Behavior of Cavitation Bubble Cluster"JSME International Journal. 45-3. 631-637 (2002)
• [文献書誌] Kawanami, Y., Kato, H., Yamaguchi, H., Maeda, M.: "Inner Structure of Cloud Cavity on a Foil Section"JSME International Journal. 45-3. 655-661 (2002)
• [文献書誌] 加藤洋治, 古屋浩志, 石井 輝: "キャビテーションジェットによる海上流出油の乳化分散"日本造船学会論文集. 192. 129-135 (2002)
• [文献書誌] 加藤洋治, 松岡拓海, 石川健一郎: "高速水流によるプランクトンの分解"日本造船学会論文集. 192. 137-146 (2002)
• [文献書誌] Yoshiaki Tamura, Yoichiro Matsumoto: "A New Algorithm for Cavitating Flow Simulations Based on the Bubble Dynamics"2nd International Conference on Computational Fluid Dynamics, Sydney, Australia. 1-6 (2002)
• [文献書誌] K., Tokumitsu, K.Kajima, R.Yamamoto: "Preparation of Nano-size Ceramic Particles by Nozzle-Jet Water Cavitation"Proc. of Seminar on Nanotechnology for Fabrication of Hybrid Materials, Toyama. 75-78 (2002)
• [文献書誌] 掛川晃彦, 横山裕, 渡辺貴之, 川村隆文, 前田正二, 山口一, 他: "キャビテーション・ジェットによる有機化合物の分解に関する基礎研究"日本機械学会2002年度年次大会講演論文集(III). 261-262 (2002)