研究概要 |
本研究で提案する燃焼方式を実現するために,現象把握・燃焼機構の検討を目的とした「高温予混合気の燃焼機構」と,詳細な反応機構の検討を目的とした「高温予混合気の反応機構」の二つの分担課題に分けて検討を進めた. 1.高温予混合気の燃焼機構:本年度は実験用可視化燃焼器の試作,燃焼発光の分光計測システムの整備を進めると共に,バーナ部での現象把握を行い,以下のような成果を得た. 1)保炎限界時の当量比は高温予熱により大幅に低下し,メタンで0.45,プロパンとブタンで0.4の希薄燃焼を実現した.また予熱時には火炎温度が上昇するものの,予熱温度の上昇を大幅に下回ることを確認した. 2)火炎吹き消えのメカニズムについて検討を進め,従来提案されていた燃焼速度と流速のマクロな釣り合いだけでは説明できないことを確認した.また壁近傍における熱損失と壁効果による燃焼反応の抑制が大きな影響を与えていることを明らかにした. 「高温予混合気の反応機構」高温予混合気の点火以前に進む低温酸化過程の反応機構解明を目的とした研究実績として次のような成果があった. 1)解明の鍵となる化学種HO_2について,新たな高感度計測装置を開発した.1.4μm帯の可変波長ダイオードレーザ,ヘリオット型多重反射光学系および光周波数二重変調法を組み合わせてHO_2の高分解吸収スペクトルを得,検出限界として10^<11>molecule/cm^3オーダーの感度を達成した.非解離性の電子遷移帯であるため,従来の紫外吸収にはない選択性が得られ,重水素化したDO_2を分離計測する能力があることも明らかになった. 2)圧縮自着火過程のアルデヒドの観測に基づいた検討を行い,元始燃料分子と中間種として生成するアルデヒドが連鎖担体であるOHを消費する反応において競合することで連鎖停止条件が与えられることを見出した.
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