研究概要 |
本研究で提案する燃焼方式を実現するために,現象把握・燃焼機構の検討を目的とした「高温予混合気の燃焼機構」と,詳細な反応機構の検討を目的とした「高温予混合気の反応機構」の二つの分担課題に分けて検討を進めた. 「高温予混合気の燃焼機構」 実験用可視化燃焼器を改良し,1000Kまで予混合気の余熱を可能にすると共に,HC検出装置の導入により,保炎限界の検出を高感度化して,希薄予混合気の高温予熱燃焼実験を進めた.その結果,保炎限界時の当量比が高温予熱により大幅に低下し,メタン,ブタン共に0.4程度になることを再確認した.またNOxはほとんど検出されず,十分に低温での燃焼が実現できていることを確認した. ブタンを燃料とした実験では,冷炎(低温酸化反応)が予熱器内部または出口で生じる温度範囲まで予熱し,燃焼実験を行ったが,低温酸化反応の発生(火炎色の変化)や,保炎限界の変化等は見られなかった.高温場での滞留時間の影響も考えられ,次年度の課題である. 「高温予混合気の反応機構」 1)14年度に完成した分光装置により,アルキル+O_2反応で生じるHO_2の計測を行った.アルキルラジカルとしてエチルC_2H_5と,メチルエーテル(DME)から生成するメトキシメチルCH_3OCH_2とを選び,両者を比較した.いずれからもHO_2の生成が認められ,その収率は,エチルでは550-650Kで上昇し100%に達するが,メトキシメチルでは500-600Kで立ち上がるが最高収率は60%であった.後者の方が過酸化ラジカルの異性化の障壁が低く,またOHを生じる反応経路が高温でも有利であると解釈できる. 2)圧縮自着火における冷炎後の排気分析手法を,DMEにメタノールを添加した系に拡張した.メタノールがOHを消費する効果と,生成するアルデヒドの同様の効果が重畳することで,連鎖停止条件が定まることを確認した.
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