研究概要 |
本研究で提案する燃焼方式を実現するために,現象把握・燃焼機構の検討を目的とした「高温予混合気の燃焼機構」と,詳細な反応機構の検討を目的とした「高温予混合気の反応機構」の二つに分けて検討を進めた. 「高温予混合気の燃焼機構」 1)DMEを燃料とした場合の高温予熱時の燃焼特性を,可視化燃焼器を用いて検討した.高温に予熱することにより保炎限界が希薄側に移動すること,350K以上になると予熱部内で低温酸化反応が発生し,火炎色が赤みを帯びたものになる一方で,保炎限界が悪化すること,1000K程度になると予熱器内部で第1段の熱炎反応が発生し,燃料が大量のCOに変換されることなどが明らかになった. 2)圧縮白着火時は低温酸化反応が着火促進に結びつくこと,そこでの熱発生量は酸素濃度に支配されることなどを明らかにした. 「高温予混合気の反応機構」 3)DME着火の初期過程,メトキシメチルCH_3OCH_2+O_2反応の経路について検討を進めた.生成物として新たに,CH_3OCH_2+O_2から中間体QOOHを経由せずに直接生成するOHを発見した.前年度報告のHO_2生成経路につき,従来機構にあるHCHO+OHからの生成が80%以上の寄与を持つことが認められた. 4)圧縮自着火の時期を化学的に制御する添加物とその反応機構について,冷炎排気分析手法によって検討した.前年示したメタノールの着火遅延効果は,メタノールとOHとの反応速度定数を用いた簡略式でその係数が表せることが分かった.着火促進物質としてオゾンを加える実験を行い,効果を確認した.オゾンは約600Kで分解して酸素原子を供給することにより,冷炎発生温度の低下と熱発生量の増加を生じさせる.
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