三角翼型渦発生体を用いたフィン-チューブ熱交換器の熱伝達率および圧力損失の特性を実験的・数値解析的に調べ、伝熱促進と圧力損失低減の両立性を研究した。 まず、低レイノルズ数域の圧力損失を高精度に測定するための風洞試験装置を設計・製作した。平行平板間流路の圧力損失に関する従来の実験整理式と比較することにより、流路等価直径に基づくレイノルズ数でRe=100程度まで妥当な圧力損失測定が可能であることを確認した。本試験装置を用いて3種類(フインのみ、フィン+チューブ、フィン+チューブ+渦発生体)の供試体を測定し、Re=100〜2000の範囲の圧力損失特性を定量化した。その結果、フィン+チューブとフィン+チューブ+渦発生体の摩擦損失係数を比較すると、Re=300以下の低レイノルズ数範囲では、後者の方が摩擦損失係数が減少する結果を得た。これまでの伝熱実験によって、渦発生体の設置によって20〜30%の伝熱促進が得られることが示されており、渦発生体の設置によって低レイノルズ数範囲では正味の圧力損失低減が実現されることを明らかにした。 次に、渦発生体の伝熱促進効果を詳細に調べるため、赤外線放射温度計を用いた非定常法によって、伝熱面(フィン面)熱伝達率分布を測定した(但し、Re=1000〜4000)。その結果、チューブを格子配列した場合、縦渦が下流に持続するとともに、第2列目のチューブ回りの馬蹄形渦が強められるため、チューブを千鳥配列した場合よりも大きな伝熱促進が得られることを明らかにした。 さらに、上述の実験結果を再現する数値解析を市販ソルバを用いて行った。速度場および壁面熱伝達率分布については実験結果と良好な一致が得られ、数値解析の妥当性が確認された。また、平均熱伝達率および圧力損失についても、Re=300以下の圧力損失を除いて、実験結果との妥当な一致が得られた。
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