研究概要 |
現在ごみ焼却炉から出た粉塵を含む有害ガス,ダイオキシン及び重金属など,高効率で除去できる優れた方法として,バグフィルタが広く用いられている。ところがこのフィルタには粉塵摩耗による寿命があり,交換時期を誤ると煙突から汚染空気が排出してしまうという災害が発生する。 この問題を科学的に解決すべく,本研究は粉塵粒子によるフィルタ繊維の粉塵摩耗メカニズムの解明を目指している。 今年度,具体的には,高速粉流体の流体衝突角度と単繊維摩耗量との関係を調べ,エロージョン摩耗によることが判明した。摩耗と関係する因子を整理し相関式を求めた。衝突角度30度,45度の低角度のものが他の高角度のものに比べると摩耗量に関係する破壊荷重の低下が著しいことがわかった。ついで実際のフィルタ繊維を通過する流体の流れ様相と粉塵粒子のフィルタ衝突角度および速度の統計的分布をPIV(Particle Image Velocimetry)を使って計測した。その結果,目つまり前と目つまりしているときの混相流体のフィルタ近傍の流れの違いが明らかになった。この違いは粉塵粒子の払い落とし方法,周期が寿命に関係することを示唆するものと考えられる。さらに粉塵を含んだフィルタの正確な摩耗量が必要であったが,磁性粉体を導入し,飽和磁化量をはかることによって摩耗量を的確に求められる新しい計測法を提案し,確認実験をした。
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